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  • EPISODE 1

夢の途中で。

TITLE:
  • NAME :

    N.N.

  • JOINED YEAR :

    2004年 入社

  • DEPARTMENT :

    秋田支社

  • SECTION :

    課長

ものづくりに魅せられて。

少年時代はものづくりに夢中だった。ラジコンに、プラモデル⋯⋯。小さなパーツを拾い上げ、一心になって組み立てた日々は思い出深い。しかし、それらは簡単に出来上がるというものではない。難しい部分が多く、試行錯誤することも多い。それでも諦めずに完成まで漕ぎつけると、言葉にならない達成感に浸った。

ものづくり好きが高じて、中学校卒業後は高等専門学校に進学。主に「金属の振動の伝わり方」について研究した。卒業すると、地元秋田の大学に編入学。大学でも機械工学を専攻し、両足の不自由な人でも楽しめるチェアスキーの開発に熱を入れた。今振り返ると、高等専門学校でも大学でも、研究対象はバラバラ。しかし、そのいずれに対しても心から夢中になったのは事実だ。知らない物事を目の前にし、自分で仮説を立て、それをもとに実験を繰り返して立証する。対象が違っても、少年時代のラジコンづくりと同じように、その過程が楽しかった。

未知なる世界に飛び込みたい。

大学卒業後は建設関係の企業に新卒入社し、およそ6年間勤めた。そして28歳のとき、TEMSに中途入社。転職しようと思ったのは、まだ経験したことのない未知なる世界へ飛び込んでみたい、という好奇心からだった。事業の社会的貢献度の高さや、福利厚生の充実。転職先をTEMSに決めた理由は他にもいろいろあるが、決心を固めたのはこれまた好奇心からだった。通常、電子部品というものは小さな基板に組み込まれていて見えないもの。しかし、TEMSが担う信号設備の場合は、無数の電子部品が目に見える大きさであらわになっている。それらが私の目に、新鮮に映ったのだ。

TEMSに入社してからは秋田サービスセンターに勤務し、秋田県内を走る鉄道の信号設備のメンテナンス業務に取り組んだ。信号設備という特殊な設備の仕組みを覚えることは難しいことばかりだったが、一方で知らないことを知っていくことが面白くもあった。「自分が手がけた設備が、あんなにも大きな列車の走行や進路を制御している」。そんな部分にやりがいを感じながら、積極的に取り組むことができた。やがて、設備の改良工事などの重要な仕事を任されるようになる。「大切な仕事を若手社員にやらせてみる」という、TEMSならではの自由闊達な風土をひしひしと感じながら、少しずつ実績を積み上げていった。

新たに芽生えた経営の視点。

2013年、東京の本店へ。現場ではない管理部門での仕事。家族と離れての新天地での生活。さまざまな不安はあったが、自身の確かな成長をつかみ取れた時期だった。現場で働いていた頃は、与えられたミッションを果たすために邁進するだけでよかった。しかし、現場を管理する立場になると、一つのことに力を注ぐだけではなく、現場業務の一つひとつを把握して収支を計画しながら、それらが会社経営にどう影響を及ぼすのかを俯瞰的に考えなければならない。「大なり小なり仕事というものは、すべて経営に直結する」。そんな新たな視点を身につけることができた。

東京での日々を経て、効率と安全をいっそう意識するようにもなった。TEMSが鉄道設備のメンテナンスというミッションを完遂するためには、大きく二つの軸が大切になる。一つは、効率。あらゆる仕事は定められた量を、限られた期間内で終わらせなければならない。そのためにどうすれば効率良く現場作業ができるのかを考える必要がある。そして、もう一つが安全。これはもっとも優先しなければならないこと。ほんの些細なミスが現場の事故になりかねないし、作業中のほんの少しの気のゆるみが信号や踏切の不具合に発展し、人々の日常を脅かしてしまうこともある。作業効率を高めて、なおかつ安全も維持する。そうした視野の広さも本店では培うことができた。

すべてを吸収してTEMSに戻ろう。

キャリアのターニングポイントを挙げるなら、入社8年目の頃。JR東日本の電気ネットワーク部へ出向し、「技術アカデミー」に入学した。技術アカデミーとは、JR東日本およびグループ・パートナー会社の社員を対象とし、将来の技術部門を牽引する次世代リーダー育成を目的とした組織である。TEMSからは、例年一人が推薦される。幸いなことに、私はその一人になることができたわけだ。そこでは鉄道システムの講義・実習や、近年注力しているモニタリング技術を活用した「電気転てつ機のスマートメンテナンス」や「列車運行と作業の安全性向上」をテーマに研究活動を行った。ここに集まる人たちは、どんな考えを持って、仕事にどう向き合っているのだろうか。「経験するすべてを吸収してTEMSに戻ろう」。そう心に決めて必死に学んだ日々は、私の財産になっている。

技術アカデミー在学中、最も印象に残っているのはヨーロッパ研修だ。フランスではJR東日本パリ事務所との意見交換や現地の鉄道を視察。イギリスではバーミンガム大学鉄道研究センターの研究者たちとの技術交流や、ロンドン都心部を走る地下鉄「テムズリンク」で実施されている自動運転を目の当たりにした。とりわけバーミンガム大学での研究発表会は、思い出深い。慣れない英語での発表だっただけに、必死に事前準備をした。会場となったのは、大学内の大きな会議室。無事にフィニッシュした瞬間、会場全体に鳴り響いた拍手に耳をすまし、ほっと胸をなで下ろした。

ただ一つだけ、変わらないもの。

TEMSに入社して15年あまりが経つ。現場で汗をかいた若手時代、現場を管理する立場になった本店時代、そこで経験した技術アカデミー⋯⋯。キャリアの一つひとつに、ちゃんと意味があったように思う。さらに月日は流れ、現在私は秋田支社にいる。信号通信課の課長として、JR東日本の担当者と打ち合わせを重ねながら、検査や工事に関わる契約をはじめ、実際に現場業務を行う県内5拠点のサービスセンターの業務量や人員の調整、そして後進の育成にも取り組んでいる。仕事に対する考え方も姿勢も昔に比べたらはるかに変わった。それはきっと「成長」と呼べる。しかし、変わり続けることだけがいいわけではない。変わらないものがあるということも大切だし、それが案外難しかったりするのだろう。私にとって、変わらないもの。それは、ここで働くやりがいだ。同僚や部下たちと力を合わせて、秋田支社管内のあらゆる信号・通信設備を検査し、地域住民の皆様の日常を守る。ラジコンづくりに夢中だった少年時代と同じように、働く喜びのすべては、その過程に詰まっている。

とはいえ、まだまだ道の途中。近年、JR東日本がTEMSに寄せる期待の大きさをひしひしと感じるようになった。JR東日本で管轄していた業務の一部が、少しずつTEMSに移管されてきていることからも、その期待の大きさは感じ取ることができる。その期待にこたえるために、私たちは何ができるのか。メンテナンス技術の絶え間ない研鑽はもちろん、技能を次世代につなげるための人材育成の仕組みづくりなど、実現しなければならないことはまだまだ多い。道のりは、おそらく長い。目の前に立ちはだかる壁だって多いだろう。それでも、まっすぐ突き進んでいきたい。道の途中で巡り合う、たくさんの喜びを感じながら。

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